一般社団法人新経済連盟(新経連)は10月16日、政府に2024年度税制改正提言を提出したと発表しました。提言で注目されるのは、暗号通貨に関する税制改正です。中でも、暗号通貨取引による利益を申告分離課税の対象にすることです。
あなたは「暗号通貨で億り人になった」という話を聞いたことがあるかもしれません。そして、「億り人になった人が税金を払えない」というニュースも聞いたことがあるかもしれません。
なぜなら、暗号通貨による利益は雑所得に区分され、給与所得などと合算した累進課税で最大45%の所得税、さらに住民税を合わせると最大55%の税金がかかるからです。億り人は暗号通貨取引で1億円以上稼いだ人です。彼らにかかる所得税の税率は最大の45%、住民税10%と合わせて、約半分が税金で持っていかれることになります。単純計算で、億り人になった次の年に約5000万円の税金を払わなければなりません(実際には諸経費などを差し引くので、納税金額はもう少し少なくなるでしょう)。
ビジネスをやっていて、毎年1億円以上の収入がある人ならいざ知らず、サラリーマンなど副業で暗号通貨取引をして、たまたま運良く億り人になったような人は5000万円もの税金を支払うのは難しいです(税金を見越して利益の半分を確保しておいたのなら話は別ですが、そういう人は少ないです)。そのため、暗号通貨取引は億り人という夢を多くの人にもたらしたと同時に、高額納税という絶望も同時にもたらしました。この状況を変えるため、新経連は政府に暗号通貨取引の利益に対して申告分離課税にするよう提案しました。
なお、海外FXによる利益も暗号通貨取引と同様、雑所得による累進課税ですので、海外FXで稼ぎ過ぎた時には注意してください。

申告分離課税とは、他の所得と分離して税額を計算して課税する方式です。申告分離課税の税率は一律20.315%です。なので、億り人になっても、税金が現在の半分以下で済みます。
なお、国内FXの利益については、申告分離課税です。なので、税金の面から見ると、海外FXよりも国内FXの方がメリットがあると言えます。
新経連の暗号通貨に関する提言では、暗号通貨取引の利益を申告分離課税の対象とすることの他、デリバティブ取引も同様に申告分離課税の対象とすること、保有する暗号通貨を法定通貨に交換する際に一括で課税を実施すること、法人税について他社発行のトークンを短期売買目的での保有ではないに限り時価ではなく簿価で課税することが提案されました。
免責事項
暗号通貨は価格変動が激しく、トレードの際は自身の投資経験、目標、財務状況、リスクを取る能力等について十分検討する必要があります。
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