エルサルバドルはどんな国?ビットコイン以外の知られざる魅力を紹介

「エルサルバドル」という国をご存じですか?

エルサルバドルは中央アメリカの小さな国です。
なので、エルサルバドルを知らない人も少なくないでしょう。

しかし。
仮想通貨界隈では、エルサルバドルは非常に有名です。

なぜならエルサルバドルは世界で初めてビットコインを法定通貨に定めた国だからです。

なので、仮想通貨やビットコインに投資するのであれば、エルサルバドルのことは知っておいた方が良いです。

そこで、この記事ではエルサルバドルを紹介します。

目次

エルサルバドルの基本情報

エルサルバドルの基本情報は以下の通りです。

国名エルサルバドル共和国
首都サンサルバドル
面積約21,040平方キロメートル
人口約649万人
言語スペイン語
宗教キリスト教
エルサルバドルの基本情報の一覧

エルサルバドル共和国は中央アメリカ中部に位置し、グアテマラとホンジュラスと国境を接する小国です。

南部は太平洋に面しており、中米7カ国の中で唯一大西洋岸を持たない国となっています。

エルサルバドル地図

国土面積は21,040平方キロメートルで、日本の九州の約半分ほどの大きさですが、約649万人(2020年)が暮らす人口密度の高い国です。

首都はサンサルバドルで、公用語はスペイン語です。

民族構成は、スペイン系白人と先住民の混血が約84%、ヨーロッパ系が約10%、先住民が約5.6%となっています。

気候は熱帯性で、雨季(5月~10月)と乾季(11月~4月)に分かれています。

首都サンサルバドルの年間平均気温は最高気温が約30℃、最低気温が約19℃と比較的過ごしやすい気候です。

経済面では特徴的な政策として、2021年9月にビットコインを法定通貨として採用しました。
現在は米ドル、サルバドール・コロン、ビットコインの3種類が法定通貨となっていますが、実際の取引では主に米ドルが使用されています。

歴史的には1821年にスペインから独立を果たし、1980年から1992年まで続いた内戦で約7万5000人が犠牲になるなど、深い傷跡を残しています。

現在も経済復興と治安回復が大きな課題となっていますが、人口の約半分が30歳以下という若い活力にあふれた国でもあります。

観光資源としては、火山と豊かな自然、マヤ文明遺跡、太平洋沿岸のサーフィンスポット、コーヒー農園などが知られています。

エルサルバドルの歴史

エルサルバドルをさらに理解するため、エルサルバドルの歴史を紹介します。

エルサルバドルの歴史は、古代メソアメリカ文明のピピル人、マヤ人、レンカ族の時代に遡ります。

16世紀初頭、スペイン人のペドロ・デ・アルバラードが征服を試みましたが、1524年のアカフトラの戦いでピピル人に撃退されました。

しかし翌1525年、アルバラードは再度侵攻し、この地域を「救世主」を意味するエルサルバドルと名付けて植民地化に成功しました。

その後、1821年にスペインからの独立を果たし、一時メキシコ帝国の一部となりましたが、1823年には中央アメリカ連邦共和国の一員となりました。

1841年に連邦が解体すると、エルサルバドルは独立国となりました。

19世紀末から20世紀中期にかけて、国内ではクーデターや反乱が頻発し、政治的・経済的に不安定な状況が続きました。

特に1980年から1992年まで続いた内戦では、政府軍と左翼ゲリラ組織ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)との戦闘により、7万5,000人を超える犠牲者が出ました。

経済面では、植民地時代からインディゴ(藍)栽培が盛んで、その後コーヒーが主要な輸出作物となり、20世紀初頭には輸出高の9割を占めるまでになりました。

この時期、富裕な地主層による寡頭支配が確立し、政治・経済の両面で強大な影響力を持ちました。

1992年のチャプルテペク平和協定により内戦が終結し、FMLNは武装解除して政党となり、エルサルバドルは多党制民主主義国家として新たな一歩を踏み出しました。

エルサルバドルの文化・伝統

エルサルバドルにはどのような文化や伝統があるのでしょうか?

エルサルバドルは、マヤ文明とピピル族の伝統文化に、スペイン植民地時代の影響が融合した独自の文化を持つ国です。

特に注目すべき文化遺産として、「アメリカ大陸のポンペイ」と呼ばれるホヤ・デ・セレン遺跡があり、火山噴火で埋もれた古代の村が当時の生活様式を今に伝えています。

伝統工芸の中心地として知られるラ・パルマには100を超える工房があり、世界的な芸術家フェルナンド・ジョルトの影響を受けた木工品や陶器、革製品に施される独特の幾何学模様が特徴です。

食文化では、国民食として制定されているププサが代表的です。

ププサ

これはトウモロコシ粉で作った生地に肉やチーズ、豆などを詰めて焼く伝統料理で、考古学的な発掘からその歴史は1400年以上前にまで遡ることが確認されています。

文化イベントも盛んで、古都スチトトでは「国際芸術文化祭」や「コーンフェスティバル」、「スチトト国際映画祭」など、様々な国際的な文化行事が開催されています。

また、伝統的な藍染めの町としても知られ、現代的なファッションアイテムにも活用されています。

国民性として、度重なる自然災害や内戦などの困難を乗り越えてきた歴史から、「忍耐強く真面目で働き者」という特徴が育まれてきました。

このような国民性と、若い世代を中心とした活力ある社会が、現代のエルサルバドル文化を形作っています。

エルサルバドルの観光名所

エルサルバドルには、歴史的建造物から自然景観まで、多様な観光スポットが存在します。

首都サンサルバドルの中心部には、重要な文化遺産が集中しています。

メトロポリタン大聖堂

メトロポリタン大聖堂

メトロポリタン大聖堂はエルサルバドルを代表する有名な歴史的建造物であり、また首都の象徴的なランドマークでもありあす。

特にオスカル・ロメロ大司教の霊廟は重要な歴史的意義を持っています。

エル・ロサリオ教会

エル・ロサリオ教会

エル・ロサリオ教会は、美しいステンドグラスから差し込む七色の光が神秘的な空間を演出する人気スポットです。

ホヤ・デ・セレン

ホヤ・デ・セレン

ホヤ・デ・セレンはエルサルバドル初の世界遺産です。

「アメリカのポンペイ」と呼ばれる古代マヤの農耕民集落跡です。

650年頃の火山噴火で埋没した村が、当時のままの状態で保存されています。

サンタアナ火山

サンタアナ火山

サンタアナ火山はエルサルバドル最高峰(標高2,181m)です。

頂上に美しいエメラルドグリーンの火口湖があります。

ハイキングスポットとして人気があり、頂上からはコアテペケ湖や太平洋の絶景を楽しむことができます

エル・ボケロン国立公園

エル・ボケロン国立公園

エル・ボケロン国立公園はサンサルバドルの郊外の標高1,893mのサンサルバドル火山の頂上にあります。

直径5km、深さ558mの巨大な火口と、1917年の噴火で形成された小さな火口「ボケロンシート」が見どころです。

エルサルバドルの治安

エルサルバドルはかつて、殺人が多く危険な国でした。
具体的には、人口10万人あたりの殺人件数が51件と、世界最悪を記録していました。

しかし、現在では治安が大きく改善されています。

2019年に就任したブケレ大統領による厳格なギャング対策がその理由です。
2018年に3,300件以上あった殺人事件は、2023年には人口10万人あたり2.4件にまで低下し、これは米国の水準(5.7件)を下回る数字となっています。

現在、政府の取り締まりにより約7万5,000人のギャングメンバーが拘束され、活動は大幅に沈静化しています。

一方で、この強力な治安対策には人権侵害の懸念も指摘されており、2024年2月時点で強制失踪327件、恣意的拘束7万8,000件以上が報告されています。

2025年1月現在、エルサルバドルには外務省から危険情報が出ています。

エルサルバドルに行ったら、夜間の一人歩きを避け、流しのタクシーの利用を控えるなどの基本的な防犯対策をしましょう。
また、貴重品の管理や人混みでの警戒を怠らないことが重要です。

エルサルバドルとビットコイン

エルサルバドルは2021年9月7日、世界で初めてビットコインを法定通貨として採用しました。

なお、エルサルバドルがビットコインを法定通貨にしたニュースを受け、ビットコインは当時の最高値を付けました。

これにより、従来から流通するアメリカドルと共存する形で、ビットコインが法定通貨として運用されることになりました。

エルサルバドルがビットコインを法定通貨にした主な理由は、海外送金の促進金融包摂の推進です。

エルサルバドルでは海外からの送金がGDPの2割以上を占めており、ビットコインを活用することで送金コストの削減を目指しました。

また、人口の70%が銀行口座を持たない状況下で、デジタル決済や金融取引の技術へのアクセスを提供する狙いもありました。

エルサルバドルはビットコインを普及させるために、以下の取り組みをしました。

  • 全国約250か所にビットコイン専用ATMを設置
  • 専用アプリ登録者への30ドル付与
  • ビットコインで政府に寄付した外国人への国籍取得優遇

ビットコインを法定通貨にして数年が経ち、現在は様々な問題が浮き彫りになっています。

例えば、国際通貨基金(IMF)は価格変動の大きさを理由に、法定通貨としての使用中止を求めています。

また、2022年6月の現地商工会議所の調査では、国民の約8割が反対を表明しており、一般国民の通貨としての利用は依然として限定的です。

エルサルバドル政府はビットコインを活用した経済活性化策として「ビットコイン・シティ」建設計画を打ち出していますが、計画は暗礁に乗り上げている状況です。

一方で、エルサルバドル政府は世界的なビットコインの需要増加を見込み、政策を継続する姿勢を示しています。

エルサルバドの実験的な取り組みは、デジタル通貨の可能性と課題を示す重要な事例として、世界中から注目され続けています。

また、

エルサルバドルがビットコインだけじゃない!

「エルサルバドル」という言葉を聞くと、ビットコインを連想する人は少なくありません。

しかし、エルサルバドルには文化や伝統や観光など、魅力的なものがたくさんあります。

この記事ではビットコインだけじゃない、エルサルバドルの情報を紹介しました。

この記事を通じて、エルサルバドルについて興味を持って頂ければと思います。

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この記事を書いた人

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