マーケットメーカーって何?
マーケットメーカーってどういう意味なの?
FXをやっていると、プロや専門家が「マーケットメーカー」という言葉を使うのを聞いたことがありませんか?
マーケットメーカーというのは、FX会社の注文処理に関連する専門用語です。
この記事では、FXの注文処理の仕組みと、マーケットメーカーという用語について詳しく解説していきます。
- マーケットメーカーという言葉の意味
- FXでトレーダーの注文がどのように処理されるか
マーケットメーカー(MM)とは?

マーケットメーカーとは、「Market Maker」の名の通り、”マーケットを作る人”という意味です。
具体的には、市場の中でいつでも売値と買値を提示し、流動性を提供できるような金融機関のことを指します。
外国為替市場の場合、インターバンクにおいて売値、買値を提示するを行う銀行や証券会社をマーケットメーカーと呼びます。

インターバンクとは、金融機関同士が取引を行っている市場となり、何かしら物理的に取引所が存在するわけではなく、インターネット等を介して取引が行われています。
一方、FX業者が取引をしている市場は「対顧客市場」と呼ばれており、私たち一般の個人投資家はこの対顧客市場にてFX業者と取引をしています。
FX業者が顧客に提示するプライスの仕組み
FX業者は、マーケットメーカーからのプライス(通貨ペアのBidとAsk)を仕入れ、それを顧客に対して提示しています。
ものすごく簡単な例にすると、「魚屋さんが魚市場にいって魚を仕入れ、自社の利益を乗せた価格をで販売する」というイメージです。
FX業者もこの例と同じで、自社の顧客に対してプライスを提示する際は、仕入れ値に対して自社の利益をプラスしたプライスを提示します。
この自社の利益分のプラスが、いわゆるマークアップと呼ばれているものです。
簡単に図に表してみましたのでご覧ください。

これがFX業者が提示するプライスの仕組みになっています。
魚屋さんが仕入れ価格そのままで販売していたら利益が出ないので、そこに利益(粗利)を乗せて販売する構造と同じですね。
FX業者も利益を出さなければビジネスとして運営できず、適切な利益がなければ顧客に対して良質なサービスやトレード環境を提供できません。
きちんと利益を出すことは大切ですし、そうしたFX業者の方が私たち個人投資家も安心です。
くりっく365におけるマーケットメーカー(MM)一覧表
なお、東京金融取引所が運営する「くりっく365」については参加するマーケットメーカーが公表されています。
下記に一覧としてまとめましたので、よければご覧ください。
- ゴールドマン・サックス証券株式会社
- コメルツバンク・アクツィエンゲゼルシャフト(コメルツ銀行)
- ドイツ証券株式会社
- 野村證券株式会社
- バークレイズ・バンク・ピーエルシー(バークレイズ銀行)
- 株式会社三菱UFJ銀行
*参照元:株式会社東京金融取引所「取引参加会社」

色んな仕組みがあるおかげで、FX取引が出来ているわけです!
くりっく365については下記の記事でも詳しく解説をしていますので、よろしければご覧ください。


FX業者の注文処理の仕組み


では、FX業者が顧客から注文を受けた際の処理の仕組みについて解説をします。
大きく分けて「DD方式」「NDD方式」の二つがあります。
ざっくりと違いを表にまとめると下記のようになります。
項目 | DD方式 | NDD方式 |
---|---|---|
ディーリングデスクの存在 | あり | なし |
分類 | – | ・ECN方式 ・STP方式 |
特徴 | スプレッドが狭いと言われている | 約定力が高いと言われている |
FX業者の利益 | ・スプレッド ・呑み | ・スプレッド ・取引手数料(ECN) |
DD方式とNDD方式に関しては下記のリンク先で詳しく解説をしています。
FX取引をする上で覚えておきたい知識になりますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。


国内FX業者は「DD方式」それとも「NDD方式」?
国内のFX業者の場合、大手のほとんどがDD方式(店頭取引=相対取引)の方式を採用しています。
- GMOクリック証券
- SBI FXトレード
- DMM FX
- トレイダーズ証券
DD方式におけるFX業者は、顧客と相対してプライスを提示することから”マーケットメーカー”と呼ばれることもあります。
なお、DD方式以外の取引方法としては、くりっく365の「取引所取引」があります。
DD方式(店頭取引)の業者は選ぶべきじゃない?
インターネットの記事をリサーチしていると、DD方式(店頭取引)を採用しているFX業者はあまりポジティブに書かれていないことがあります。
呑み行為がある、透明性がない、スキャルピングができない、などなど…。
様々な理由をつけて「NDD方式>DD方式」という印象を植え付けようとしている印象を受けてしまいますで。
ただ、DD方式(店頭取引)自体に全く違法性はなく、きちんと金融庁も認めているFX業者の取引形態です。
時折、悪の代表みたいな形で取り上げられる”呑み”も、あくまでもFX業者のカバー取引の選択肢の一つであって、それ自体が個人投資家の勝ち負けを左右するものではありません。
もちろん、呑む=カバー取引を未執行という状況なので、急なマーケットの変動によってFX業者が被るリスクは高くなりますので、そこは注意が必要です。


金融庁のホームページにも記載がありますので、参考までに抜粋しておきます。
金融商品取引業者は、業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類をウェブサイト又は営業所に備え置く方法により開示しています。また、店頭FX業者は、店頭FX取引に関するリスク情報(注)をウェブサイトで公表していますので、業者を選定する際の参考にしてください。
(注)店頭FX取引に関するリスク情報は、以下のような内容となっています。
引用元:金融庁「外国為替証拠金取引について」
- 未カバー率:投資者の買い建玉と売り建玉の差額のうち、カバー取引(店頭FX業者が、投資者との取引から生じる相場変動リスクを軽減するために他の金融機関を相手方に行う取引)を行っていない割合です。数値が高いほど、業者は相場変動リスクが高くなります。
極論、私たち個人投資家がFXで負ける、勝てる、というのは、FX業者云々というよりも、本質的には自身のトレード力や相場観に大きく左右されるものだと筆者は思っています。
筆者の体験談
筆者はいわゆるDD方式(OTC:店頭FX)の業者で働いていたことがあり、日々の仕事の中でディーラーの人たちとも色々やりとりをしていました。
業務上、顧客の口座情報などにアクセスすることもありましたが、しっかりと利益を上げている人はいました(もちろん、損失を出している人もいましたが)。
FXで利益を上げるためには業者の選定や方式云々もありますが、自身のトレード力をアップさせることがまずは大事なのかなと個人的には思うところです。
FX業者選定で大切なのは国内ライセンスの保有の有無
国内のライセンスを保有しているFX業者かどうか。
これがFX業者を選定する上で、何よりも重要視すべき点であると思います。
国内のFX業者は、厳しい条件をクリアして金融庁からライセンスを取得しています。
日本できちんとFXビジネスを展開したい海外の業者は、日本のライセンス保有会社を買収することでビジネスに参入してきており、そこにかけるコストと時間から企業の”本気の姿勢”が伺えます。
一方、海外FX業者の場合、イギリス領ヴァージン諸島やベリーズなど、ライセンスが取得しやすい国でライセンスを取得してはいるものの、日本のように基準が厳しい国のライセンスは取得していません。
いわゆる、「人気」「おすすめ」と言われている海外FX業者であっても、日本国内にオフィスを持たず、金融庁の警告も無視してビジネスを拡大しているのが現状です。
どの業者の口座開設をするのかは私たちの「自己責任」となりますが、このような企業の姿勢の違いに着目することも大事なのではないか、と筆者は考えます。
なお、ライセンスに関して詳しく解説をした記事がありますので、もしよろしければそちらもご覧ください。


FXのマーケットメーカー(MM)まとめ
さて、今回の記事ではFXのマーケットメーカー(MM)について解説をさせていただきました。
マーケットメーカーはその名の通り「マーケットを作るもの」を指しており、FX市場を構成する銀行や証券会社のことを指しています。
B-Book処理のできるFX会社もマーケットメーカーということになりますが、必ずしもB-Bookがダメという訳ではなく、A-Bookのメリット・デメリットも考慮した上でFX会社や口座を選ぶのがよいでしょう。
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