ゴールデンウィーク中の日銀・財務省の“奇襲介入”、効果は限定的?市場心理に与えた影響と持続可能性を探る

政府・日銀がゴールデンウィーク中に見せたドル売り・円買い介入の真相が徐々に明らかになってきた。財務省は5月31日、4月26日から5月29日にかけて実施された外国為替平衡操作の総額が約9兆7885億円に上ったと発表した。具体的な介入日や対象通貨は8月初旬に公表される予定であるが、4月29日と5月1日に行われたとされるドル売り・円買い介入がその大部分を占めているとの見方が強い。これは1週間という期間における円買い介入としては過去最大の規模である。

ドル/円相場はその後、米日間の金利差に起因するドル高・円安の圧力と、日本の財務省によるさらなる介入の可能性という二つの力がせめぎ合う状況にある。どちらが優勢になるかは未だ不透明である。財務省は4月29日の日本時間午後1時過ぎ、ロンドン時間の午前8時過ぎ、そして5月1日のニューヨーク時間午後4時過ぎの3回にわたって介入を行ったと推測されている。日足で見ると「2回」とカウントされるが、ティックチャートを詳細に分析すると「3回」に分けて行われた可能性が高い。

当時の市場状況における介入のトリガーとなるレートが1ドル=160円前後であったこと、

24時間体制で介入を行う意思と能力があることを市場に示すことであったと考えられる。このような大規模な介入を目の当たりにした市場参加者の間では、160円のレベルを突破する動きが鈍化したと見られている。

米国のイエレン財務長官は、日本の介入に対して「為替介入は稀であるべき」とコメントし、日本政府の介入再開に警鐘を鳴らした。一方で、日本の経済界のリーダーたちは、円安による輸入インフレに苦しむ国内企業の立場を代弁し、今回の介入による円安抑制の試みを高く評価している。

財務省が管理する外貨準備は、5月末時点で約1兆2316億ドル(約193.7兆円)に上り、その大部分が流動性の高いドル預金や米国債であると推測される。これにより、同規模の介入をさらに15回以上行うことが可能である。神田真人財務官は「必要に応じて適切な措置を取る」と述べている。

しかし、政府が為替介入を繰り返す場合でも、同じ金額の介入が引き起こす円高ショックの影響は次第に小さくなり、その効果も短期間に限定されるだろう。市場は同じ刺激に慣れてしまうためである。国際決済銀行が2022年4月に実施した調査によると、ドル/円市場の日々の取引規模は1日平均1兆ドルにも上る。このような巨大な市場において、財務省が保有する1.2兆ドル程度の外貨準備で市場のトレンドを完全にコントロールすることは不可能である。日本政府の為替介入は、米国の金利低下によるドル安圧力が発生するまでの時間稼ぎに過ぎないとの見方が市場関係者の間で共通認識となっている。

日銀が短期政策金利を引き上げることで、財務省の為替介入効果を補強することは理論上可能であるが、円安が進んだ後の緩和修正では、永続的な円安抑止力にはなりにくい。実際、5月13日に日銀が国債買い入れを減額した後、日本の長期金利は13年ぶりに1%を超える上昇を見せたが、円安抑止効果は限定的であった。

日銀が安定的な円高圧力を生み出すためには、物価目標2%を超える実質プラス圏まで短期金利を引き上げる必要がある。しかし、そのような金利上昇は、日本政府の利払い負担の増大、個人の住宅ローンやカードローンの返済負担の急増、中小企業の資金繰り倒産リスクの高まりなど、新たな問題を引き起こす可能性がある。

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