ドル円相場が続伸、日銀の政策決定と経済指標に揺れる市場

ニューヨーク外国為替市場における6月14日の取引では、ドル円相場が続伸し、終値は157.40円となりました。

米国の経済指標に注目すると、6月のミシガン大学消費者態度指数速報値が市場予想を下回りましたが、消費者の期待インフレ率は予想を上回ったため、市場の反応は限定的でした。

日本銀行は、金融政策決定会合を開催し、政策金利の現状維持と国債購入の減額方針を決定しましたが、具体的な減額計画は次回7月の会合に持ち越されました。これを受けて、東京市場では円売りが優勢となり、一時158.26円と4月29日以来の高値を記録する場面もありました。

日銀の植田和男総裁は定例記者会見で、「国債買い入れの減額は相応の規模になる」と述べ、データに基づき7月に利上げの可能性があるとの見解を示しました。これにより、市場は一転して円買い・ドル売りが優勢となり、欧州市場序盤には156.89円まで下落しました。

今後のドル円相場は、円安傾向が続くと予想されます。7月末の日銀政策決定会合まで、日本の経済指標などのネガティブサプライズが円安をさらに強める可能性があります。また、東京時間には東京仲値を中心に日本勢からの円売りが見られ、円安傾向が継続すると考えられます。新NISA(少額投資非課税制度)の導入による海外株投資への資金手当ても、円売りの一因とされています。

先週の日銀政策決定会合では、国債購入の減額方針を策定せず、円売りを助長させました。日銀は次回7月30・31日の会合で長期国債の買い入れ減額計画を決定すると発表し、市場にサプライズを期待させました。しかし、市場はこの発表を織り込み済みと判断する可能性があります。

植田総裁は、減額規模が「相応の規模になる」と述べ、短期金利の引き上げもあり得ると発言しました。これにより、円相場は大幅な減額と短期金利の引き上げだけでは円買いに動かないリスクが増しています。

日本のファンダメンタルズが回復傾向にない中、利上げによる景気悪化のリスクにも注意が必要です。物価の影響を考慮した実質賃金は25カ月連続で減少し、1-3月期の国内総生産(GDP)はマイナス成長となりました。

日銀が公表する基調的なインフレ率を捕捉するための指標では、インフレ圧力がやや後退しています。この状況で中央銀行が利上げに傾くことは、正統的な対策とは言えないとの意見もあります。次回会合までには、インフレ指標や日銀短観などが発表され、データに基づいた日銀の姿勢が注目されます。

本日は、4月の機械受注が発表されます。3月は前年比でプラスに転じましたが、4月は再びマイナスになると予想されています。日銀が利上げへのハードルを上げたことで、通常は市場の反応が薄い機械受注指標でも、ネガティブサプライズには反応する可能性があります。

ドル円相場は現在、1ドル157円台中盤で推移しています。

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