日本銀行の植田総裁は11月18日、名古屋市での金融経済懇談会に出席し、懇談会後に記者会見を開き、今後の金融政策について重要な見解を示しました。
植田総裁は経済や物価が日本銀行の見通し通りに推移すれば、利上げを進める考えを再度強調しました。特に、「物価安定目標の持続的かつ安定的な実現に向けて、金融緩和の度合いを調整することが必要である」と述べています。これは、利上げを継続していくことを示唆しています。なお、12月の追加利上げの可能性については言及を避けていました。
利上げ判断の重要な要素として、海外経済と国内賃金動向を挙げました。「アメリカや中国など主要国の経済動向が不確実であり、それが日本経済にも大きな影響を与える可能性がある」と指摘しています。また、「国内では賃金上昇が物価上昇に追いついていない状況が続いているため、今後の労使交渉や価格転嫁の動向がカギになる」とも述べました。
また、「トランプ次期大統領の就任による政策や人事が世界経済に与える影響についても注目している」と述べました。ただし、現時点では具体的な政策内容が明らかになっていないため、その全貌が判明するには時間がかかるとの見解も示しました。
植田総裁の会見ではタカ派のメッセージがなく、これまでと同じ内容でした。そのため、市場では12月の追加利上げ観測が後退しました。
植田総裁の会見を受け、円が売られ、ドル円相場は一時155円を超えました。ドル円相場は現在、1ドル154円半ばで推移しています。
植田総裁は11月21日に「パリ・ユーロプラス ファイナンシャル・フォーラム2024」で講演する予定です。
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