米カリフォルニア州ロサンゼルスで1月7日、山火事が発生しました。
この山火事では1月9日時点で、5人が死亡し、10万人以上に避難命令が出される事態となっています。
なお、山火事の被害はロサンゼルスの高級住宅地にも及び、ハリウッドセレブの住宅にも被害が出ています。
この記事では、ロサンゼルスの山火事について、詳しく解説します。
山火事の被害状況

1月7日に発生したロサンゼルスの山火事は乾燥した強風「サンタ・アナ」の影響により、規模を急速に拡大させ、深刻な被害をもたらしています。
火災の延焼地域は以下の地域です。
- パシフィック・パリセーズ地区
- イートン地区
- ハースト地区
- リディア地区
- ウッドリー地区
焼失面積は100平方キロメートルを超え、現在も広がっています。
イートン地区では5人の死亡が確認され、1000棟以上の建物が焼失しました。停電の影響は150万戸に及び、インフラにも大きな打撃を与えています。
10万人以上に避難命令が出され、さらに追加で10万人に避難が呼びかけられています。
また、ハリウッド地区では、マンディ・ムーアなど著名人も避難を余儀なくされています。
被害を受けたハリウッドスターは以下の通りです。
- リッキー・レイクが「夢の家」を喪失
- スペンサー・プラットとハイディ・モンタグの自宅が全焼
- マンディ・ムーアが家族と共に避難
- ジェイミー・リー・カーティスが自宅の被害を報告
この他、火災拡大防止のため、電力会社と連携し、予防的な停電措置を実施し、最大で40万戸が影響を受ける可能性があります。
なお、大気汚染などを理由に、ロサンゼルスの一部地域で学校の休校措置を実施しています。
消防隊による懸命な消火活動が行われているものの、鎮火には至っていません。
その理由として、以下の3点が挙げられます。
- 最大時速99マイル(約160キロ)の強風
- 消防士の人員不足
- 水資源と水圧の不足
現場の消防局の署長たちは以下のコメントをしています。
ロサンゼルス消防署クリスティン・クローリー署長:
「非常に激しい強風のため状況が深刻で、25年のキャリアでこれほどの風は初めてです」
ロサンゼルス郡消防署アンソニー・マローン署長:
「LA郡には、この規模の4つの別々の火災に対処するのに十分な消防士がいません」
パサデナ消防署チャド・オーガスティン署長:
「非常に不規則な風が延焼の原因となっています」
各消防署長のコメントから消火活動の課題が浮き彫りになっています。
- 複数の大規模火災が同時発生し、消防力が分散している。
- 強風により航空機による消火活動が制限されている。
- パシフィック・パリセーズ地区では消火栓の水圧低下や水不足の問題が発生している。
- 消防士の人員不足により、他州からの応援要請を余儀なくされている。
カリフォルニア州は山火事が多い地域で、毎年のように発生しています。
さらに、激しくなっています。
カリフォルニア州で山火事が多い主な理由は気候変動です。
科学者の研究によると、気温上昇と乾燥化が山火事の規模と頻度を著しく増加させています。
1970年代と比較すると、カリフォルニア州での夏季の焼失面積は8倍にも拡大しています。
なお、オーストラリアの科学者の調査によると、気温の上昇、湿度の低下、降雨量の低下、強風といった条件が、山火事のリスクを高めるとのことです。
カリフォルニア州では、乾燥によりシエラネバダ山脈の積雪量が減り、その結果、春の雪解け水の量が減り、そして湿気が減少しています。
そのため、オーストラリアの調査が示す通りの状況となっています。
この他、人為的な原因(例えばキャンプファイヤーの消し忘れ、タバコの不始末、送電線の故障など)による山火事も発生しています。
なお、今回のロサンゼルスの山火事の出火原因については、現在のところわかっていません。
ハリウッドへの影響

ロサンゼルスの山火事はハリウッドにも大きな影響を与えました。
「グレイズ・アナトミー」、「ハックス」、「スーツLA」、「NCIS」など、15以上のテレビ番組の撮影が中断を余儀なくされました。
また、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドとユニバーサル・シティウォークも強風と火災の影響で閉鎖されています。
さらに、エンターテインメント業界の主要イベントも次々と中止や延期となっています。
- クリティクス・チョイス・アワードが1月26日に延期
- スクリーン・アクターズ・ギルド賞のノミネーション発表が対面式から書面発表に変更
- AFIアワードのランチョンが延期
- BAFTAティーパーティーが中止
この他、映画「キャリー」やテレビドラマ「ティーン・ウルフ」のロケ地として知られるパシフィック・パリセーズ地区のパリセーズ・チャーター高校が被害を受けました。
また、ウィル・ロジャース・ステート・ヒストリック・パークの歴史的な建造物も焼失しています。
現在も山火事鎮火の見通しが立っていないため、エンターテインメント産業への影響は今後さらに拡大する可能性があります。
山火事に対する政府の対応

連邦政府の支援は具体的には以下の通りです。
- 国防総省への消火作業支援の指示
- 連邦緊急事態管理局(FEMA)による避難者支援
- 被災地への緊急支援資金の提供
また、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム州知事は非常事態を宣言し、以下の対策を出しました。
- 州兵による支援活動の開始
- 他州からの消防応援要請
- 州外からの消火活動支援の受け入れ
なお、トランプ次期大統領はニューサム州知事が環境保全を優先して消火に必要な水を供給する措置を取っていないとして、「被害を拡大させたのはニューサム州知事のせい」だと批判しています。
まとめ
1月7日に発生したロサンゼルスの山火事は懸命な消火活動にも関わらず、被害を拡大させ続けています。
出火の原因はまだわかっていませんが、サンタ・アナという不規則な風により、被害が拡大しています。
今回の山火事では消火活動の課題が浮き彫りになりました。
カリフォルニア州は山火事が多く、気候変動により酷さを増しています。
少しでも早く鎮火されることを祈っています。